日時 2009年5月15日(金) 9時30分〜10時30分
    JR姫駅から徒歩30分
   
    【鳥の種類】 ヒバリ、トビ、ウグイス、ムクドリ、ウグイス(声)

   

    アゲヒバリ名乗り出で
   

     串本町袋から熊野古道大辺路を歩いた。皐月ばれの好天で、風が爽やかで
    ある。トビが空を舞っている。のどかな午前中の光景だ。そのトビが、尾根
    の雑木に止まった。双眼鏡で覗くと、木に巣がつくられていた。雛を育てて
    いるらしい。人も鳥も子育ては、大変である。
     大辺路は、ヤマツツジやフジが満開である。大辺路を進んでゆくと、耕作
    地と耕作放棄地が斑に展開する。突然、耕作放棄地からヒバリが飛び立った。
    空中高く舞い上がったヒバリは、高い声で囀った。ヒバリの囀りは、縄張り
    を告げている。しばらく、囀っていたヒバリは、急降下すると着陸した。
     着陸場所は、飛び立った場所と異なっていた。そこから、巣まで歩いて行
    く。藪や茂みに巣をつくるヒバリは、巣から離れた場所から離着陸する。中
    学生の頃、麦畑に降りたヒバリの巣を捜したが、見つけられなかった。ヒバ
    リの知恵に翻弄された経験がある。
     イギリスの詩人、ブラウニングの詩を上田 敏が『海潮音』で紹介した訳
    詩「春の朝」に、ヒバリがうたわれている。


      時は春、日は朝、朝は七時、
      片岡に露みちて、
      揚げ雲雀なのりいで、
      蝸牛枝に這い、
      神、そらにしろしめす。
      すべて世は事もなし。


     ここでは、ヒバリは平和で長閑な田園生活を象徴している鳥として、表現
    されている。まさしく、ヒバリが囀っている光景が保存されてこそ、環境が
    保護されているといえよう。
     人間社会も限界集落が論議されているが、鳥類の社会も絶滅危惧種が増え
    ている。その原因を詮索しない怠慢な態度が、この事態を引き起こしている
    のだろう。しかし、生物界で人間の果たしている自然破壊の多さには、びっ
    くり仰天である。とてもじゃないが、世はすべて事も無し、とはいかない。
     ヒバリといえば、NHKの素人のど自慢に出場したが、記念品のトロフィ
    ーは、ヒバリをデザインしたものであった。鳴き声の良いウグイスと異なり、
    ヒバリはアマチュア歌手の象徴なのである。高い声で囀るが、うまくはない
    という意味であろう。